光が当たれば、影も生じる。都市農業の経営環境は決して平坦ではない。最大の課題は重い税負担と、後継者問題だ。都市部の農地には高い固定資産税や相続税が課されるため、代が変わるごとに農地が切り売りされ、住宅地化していくケースが後を絶たない。
さらに、近隣住民との調和も不可欠だ。トラクターの作業音や風で舞う土塵、肥培管理に伴う臭いなど、農作業に対する理解を得る努力が絶えず求められる。宇田川農園が今日まで存続してきた事実は、単に質の高い野菜を作ってきたからだけではない。丁寧な対話と、地域貢献を通じた誠実な関係構築があったからに他ならない。
都市農地の価値を再評価する法改正(生産緑地法の見直しなど)も進みつつあるが、現場での試行錯誤は続いている。伝統を守りながら現代の消費者ニーズに応え続ける宇田川農園の歩みは、日本の都市農業が目指すべき姿を提示している。