本作において最も視聴者に鮮烈なトラウマと哀愁を刻みつけた存在、それが町田啓太演じる加賀美圭介だ。こころの仕事上の相棒であり、常にコロッケを頬張りながら飄々と彼女を見守るカメラマン。時に甘い言葉を投げかけ、時に不器用な優しさで包み込む「最高の理解者」という立ち位置は、最終局面で見事なまでに反転した。
加賀美の正体こそが一連の連続殺人を実行していた真犯人であり、幼少期の壮絶なトラウマから「吸血鬼は悪であり、駆除しなければならない」という狂信的な信念に囚われた哀しき怪物だった。町田啓太は、穏やかな好青年から冷酷非情な殺人鬼への変貌を、声のトーンや冷え切った眼差し一つで残酷なまでに鮮やかに演じ分けた。
こころに向ける愛情が本物であったからこそ、吸血鬼である彼女をも毒殺しようとする彼の歪んだ正義はあまりにも痛ましい。殺意と純愛が狂気の中で同居する加賀美の散り際は、サスペンスドラマ史に残る屈指の名シークエンスとなった。