テレビカルチャーの巨大な変遷を理解するためには、かつての黄金期と現在地の対比が欠かせません。歴代ドラマ最高視聴率ランキングの上位を振り返ると、今では信じられない驚異的な数値が並んでいます。
1983年の連続テレビ小説『おしん』が記録した最高62.9%を頂点に、1990〜2000年代には『積木くずし』(52.6%)、『ビューティフルライフ』(41.3%)、『半沢直樹(2013年版)』(42.2%)などが日本中を熱狂させました。その中心でドラマカルチャーを牽引し続けたのが、フジテレビの「月9(げつく)」枠です。
月9ドラマ歴代視聴率推移を辿ると、1990年代の『ロングバケーション』(最高36.7%)や『HERO』(全話平均34.3%)の時代は、月曜夜9時に街から女性が消えると言われました。しかし、2010年代半ばから視聴率は徐々に下降線をたどり、2018年以降は1桁台を記録することも日常化しました。かつては社会現象を独占的に生み出していた「月9ブランド」も、現在では数ある視聴選択肢の1つへと相対化されています。これは特定枠の凋落ではなく、マスメディアが単一の巨大な流行を強制的に作り出せた時代の終焉を示しています。