物語のクライマックスにおいて、最も視聴者を惹きつけたのは「偽りの恋人関係を結んでいた花火と麦が、最終的に結ばれるのかどうか」という一点でした。結論から言えば、本作は安易なハッピーエンドを完全に拒絶した「切なくも前向きな決別」を着地点として選んでいます。
物語終盤、花火が想いを寄せていた鳴海先生と、麦が執着していた茜先生は、驚くべきことに結婚を決意します。茜の奔放な過去や歪んだ本性をすべて知った上で、「それでも君と一緒にいたい」と無償の愛を差し出した鳴海に茜が折れ、二人は本当の伴侶となりました。この瞬間、花火と麦の「本命への片想い」は完全に失恋という形で終止符を打たれます。
契約の前提条件が崩れ去った文化祭の夜、花火と麦は屋上で向き合います。傷を舐め合い、肉体を重ねてきた二人が「このまま二人で付き合う」という選択肢を取ることは極めて容易でした。しかし、二人はあえてその安寧を選びませんでした。誰かの代わりとして始まった関係のまま結ばれることは、互いに対する冒涜であり、再び嘘を重ねることに他ならないと悟ったからです。
「私たちは、本物の恋を探しに行こう」――そう誓い合い、花火と麦はお互いの手を離し、別々の道を歩み始めます。実写ドラマ版では、吉本実憂さんと桜田通さんの繊細な視線の交錯と、言葉にならない息遣いが見事に表現されており、原作の持つビターな余韻を実写ならではの生々しさで昇華させました。