本作の最大の推進力となっているのは、IT企業「クノシス」を舞台に繰り広げられる、嘘と欲望にまみれた人間関係の構図です。主人公・鈴木美月は、亡き夫・優吾が命を絶った現場であるクノシスに、敏腕契約プログラマー「鈴木密(すずき・みつ)」という偽りの身分で潜入。職場の内部からターゲットたちの弱みや悪事を暴き、綿密な計画のもとで一人ずつ確実に追い詰めていきます。
社内の相関関係における最重要人物が、夫の後輩プログラマーであった斎藤真言(桐山漣)です。斎藤は社内で唯一、優吾の人柄を慕い、その死に疑問を抱いていた人物であり、密の正体と目的に気づきながらも、次第に彼女の復讐に手を貸すバディのような共鳴関係へと変化していきます。
一方で、復讐のターゲットとなる同僚たちは、いずれも人間の醜悪なエゴを煮詰めたような曲者揃い。社内の利権を貪り優吾を過重労働とパワハラで圧殺した開発部部長・橋本雅史(淵上泰史)や、プライドが高く陰湿な嫌がらせで優吾を精神的に追い詰めた課長・佐伯麻穂(足立梨花)など、役職や立場を利用して悪事に手を染めた面々が、密の仕掛ける甘い罠と冷酷な罠に次々と絡め取られていきます。