都内を代表する馬ゆかりの二大巨頭といえば、秋葉原・御茶ノ水エリアに鎮座する神田明神(神田神社)と、港区愛宕山にそびえる愛宕神社です。それぞれが持つ固有のストーリーと見どころを現場の視点から紐解きます。
神田明神境内にある神馬舎で参拝者を迎えてくれるのが、白毛の牝馬である神馬「あかり(正式名:神幸号・みゆきごう)」です。信州の大自然で生まれ育ち、神田明神へとやってきた彼女は、多くの参拝者に癒やしと神聖な気をもたらしています。神馬舎でのお披露目時間は、基本的に日中の午前中から夕方前(10:00頃〜15:30頃)を目安に公開されていますが、夏季の猛暑期や悪天候時、高齢化に伴う体調管理の観点から、裏手の馬房で静養している日もあります。境内の売店では、あかりをモチーフにした「勝守」や神馬御守、絵馬が授与されており、勝負事を控えた人々に極めて高い人気を誇ります。
一方、標高25.7メートルの天然の山頂に鎮座する愛宕神社には、競馬・ビジネス双方の勝負師が息を呑む「出世の石段」の故事が刻まれています。1634年(寛永11年)、徳川三代将軍・家光が愛宕山上に咲く見事な梅を目にし「誰か馬であの梅を取って参れ」と命じた際、傾斜約40度・86段の急な石段を騎馬で駆け上がり、見事に梅の枝を献上したのが讃岐丸亀藩の家臣・曲垣平九郎(まがきへいくろう)でした。家光から「日本無双の馬術の名人」と絶賛され一夜にして全国にその名を轟かせたこの武勇伝こそが、現代まで語り継がれる出世祈願・勝負運祈願の絶対的な原点となっています。