多くの来館者が目当てにするのが、大規模な展覧会ごとに展開される「東京都美術館企画展コラボレーションプロジェクト」の特別メニューだ。名画の色彩や画家の生涯、あるいは作品が生まれた土地の郷土料理に着想を得て考案される限定プレートは、まさに食のアートピースと言える。
印象派展であれば光のきらめきをジュレや旬の柑橘で表現し、北欧や中欧の巨匠展であれば現地の伝統食材を取り入れた煮込み料理がテーブルを彩る。見た目の華やかさだけでなく、シェフの確かな技術と文献へのリスペクトが詰まったコース仕立ての構成は、美術鑑賞の体験を五感すべてで完結させる贅沢な仕掛けだ。会期ごとに内容が一新されるため、この限定料理を味わうためだけに足を運ぶリピーターも少なくない。