こうした課題を打開すべく、東京大学は積極的なインセンティブ設計と環境整備を推進しています。その象徴的な施策が、2017年から導入された女子学生向けの家賃補助などの支援策です。
この制度は、実家からの通学が困難な女子新入生を対象に、大学が用意したセキュリティの高い提携マンション等へ入居する場合、月額3万円(最長2年間)の住居支援金を支給するものです。「東大は女子にとって治安や生活面で不安」という地方の保護者の懸念を払拭し、出願への心理的ハードルを下げる試みとして定着しています。
さらに大学執行部は、長期指針である「東京大学ジェンダー平等推進計画(UTokyo Compass)」を掲げ、2027年までに学部生の女子比率を約30%へ引き上げる目標を設定。女性教員や研究者の採用拡大とともに、全国の女子高校生に向けたオンライン説明会や現役東大女子学生によるメンタープログラムを活発化させています。
また、全国の国公立大学で導入が相次ぐ「女子枠(女性限定の学校推薦型選抜等)」の導入議論についても、東大学内で慎重かつ踏み込んだ検証が行われています。公平性を重視する一般入試への影響を懸念する声がある一方、理系分野を中心とした多様性確保のために特別なアプローチが必要だとする意見も根強く、今後の選抜制度改定に向けた大きな焦点となっています。