菩提遷那をめぐるドラマチックな人間模様は、映像作品のなかでも鮮烈に描かれてきた。なかでも日本放送協会(NHK)が古代史のダイナミズムを映像化したドラマ『大仏開眼』は、混沌の奈良時代を生き抜いた人々の葛藤を浮き彫りにした名作として記憶されている。
吉備真備や阿倍仲麻呂、聖武天皇、そして異国から招かれた僧たちの心理描写を通じて、大仏造立が決して平坦な道ではなかったことを伝えた。時代劇・歴史劇というジャンルにおいて、奈良時代は戦国や幕末に比べて映像化のハードルが高いとされてきたが、この作品はアジア規模のスケール感と人間の泥臭い野心を両立させ、歴史ファンの心を強く掴んだ。