春先になると、SNSやネット掲示板(5chや知恵袋など)では「全国高校東大合格者ランキング速報」をめぐる熱狂的な書き込みが溢れかえります。「〇〇高校が凋落した」「新興校の〇〇が神」といった言説が飛び交いますが、ここには情報の受け手が陥りやすい3つの盲点があります。
第1の盲点は、「推薦入試(学校推薦型選抜)」の実績の見落としです。東京大学は多様な才能を確保するため、推薦入試の定員を約100名設けています。ここでは一般入試のペーパーテスト偏重では測れない、突出した学術コンテスト実績や課外活動が評価されます。地方の公立校や探究学習に注力してきた中堅校が推薦で東大合格者を出し始めている事実は、ペーパーテスト一辺倒のランキング表からは見えてきません。
第2の盲点は、「浪人生率」の格差です。例えば同じ合格者50名でも、現役合格が40名の学校と、現役合格が20名(浪人30名)の学校では、学校内の進路指導環境はまるで異なります。浪人を厭わず東大に果敢にアタックさせる校風(麻布や灘などにみられる文化)と、現役志向で確実に合格圏を狙わせる校風(聖光学院や渋幕など)の違いを理解せずに、単一の数字を比較することには重大な誤解が生じます。
第3の盲点は、海外大学への流出です。渋谷教育学園幕張(渋幕)や渋谷教育学園渋谷(渋渋)などのグローバル志向校では、東大に十分合格できる学力を持ちながら、最初からハーバード大学、イエール大学、オックスフォード大学などを目指して進学する最優秀層が増加しています。東大合格者数が数名減少したからといって、その学校の学力水準が低下したと判断するのは、現代のグローバル入試環境を無視した短絡的な見方にすぎません。