高橋まつりさんの事件は、日本の雇用慣行と労働法制を大きく塗り替えました。過労死等防止対策推進法(2014年施行)の実効性を高める議論が急速に加速し、2018年には歴史的な法改正となる「働き方改革関連法」が成立しました。
この法改正により、従来は実質的に青天井だった時間外労働に対し、歴史上初めて「罰則付きの残業上限規制(原則月45時間・年360時間、臨時的な特別条項でも月100時間未満・年720時間以内)」が導入されました。
それまで美徳とされがちだった「モーレツ社員」「徹夜自慢」といった価値観は急速に否定され、企業の労務管理に対するコンプライアンス意識は一変しました。インターバル勤務制度の導入や有給休暇の取得義務化など、働く環境の近代化を促した背景には、まつりさんの尊い犠牲と遺族の叫びがあったことは紛れもない事実です。