鉄道会社が事故発生時に算出する遅延損害金には、明確な算定根拠が存在します。JRや各大手私鉄が計上する主な損害項目は以下の通りです。
・振替輸送費用:足止めされた乗客を他社私鉄や地下鉄、バスへ誘導した際、受託側鉄道会社へ精算・支払いを行う実費。
・車両の修理・清掃点検費用:先頭車両のフロントガラス破損、スカートの歪み、ブレーキ系統の点検、血痕や車体付着物の専門清掃費用。
・特急券・指定席券の払戻金:一定時間以上の遅延によって生じた特急料金や座席指定料金の乗客への返還費用。
・人件費・復旧作業費:事故現場での救助活動、実況見分対応、ダイヤ再編に伴う運転士・車掌・駅係員の超過勤務手当。
乗車券(普通運賃)自体は目的地まで運送を完了すれば払い戻し対象にならないため、損害の大半は他社への振替輸送費用と特急券の払い戻しで占められます。JR東日本などの過密ダイヤ区間では影響人員が数十万人に及ぶため総額が膨らみやすい傾向にありますが、それでも回収不能リスクを考慮し、現実的な着地点で和解が模索されるのが通例です。