治療方針を選択する際、読者が最も直面するのが「保存療法(ギプス等)で粘るべきか、それとも切って手術するべきか」という現実的な葛藤です。現場の臨床現場および患者のリアルな入院・医療費データからその実態を紐解きます。
Zone 1(下駄骨折)における保存療法では、受傷から2〜4週間程度のギプスやシーネによる固定が行われます。近年は痛みの引き具合を見ながら、足底板(インソール)や専用のウォーキングブーツを併用し、早期から踵荷重を認めるプロトコルが主流です。保存療法の通院費用は、保険適用(3割負担)で初診から治癒まで総額約1万5,000円〜3万円程度(レントゲン検査、装具代、リハビリ指導料を含む)で収まるケースが一般的です。
しかし、Zone 2やZone 3に対して保存療法を選択する場合、「完全免荷(一切足を地面につけない状態)」を最低6〜8週間継続しなければなりません。松葉杖生活による筋力低下や日常生活の破綻は想像以上に過酷です。さらに、長期間耐えたにもかかわらず骨がつかない「遷延治癒」や「偽関節」に至り、結局数ヶ月後に手術を余儀なくされる患者の精神的疲弊は計り知れません。
一方、手術療法を選択した場合、主流は低侵襲で行われる「経皮的髄内スクリュー固定術」です。直径4.5〜5.5mm前後のチタン製中空スクリュー(キャニュレイテッド・スクリュー)を骨の内部に打ち込み、骨折面を強力に圧迫(コンプレッション)します。
入院期間は医療機関の体制により異なりますが、日帰りまたは1泊2日〜3日程度の短期入院が一般的です。手術・入院費用は健康保険(3割負担)適用で約12万〜20万円前後が相場となります(高額療養費制度の適用によって自己負担上限額まで軽減可能)。入院期間自体は短いものの、術後の創部管理や段階的な荷重トレーニングが必要となるため、事前のスケジュール確保が欠かせません。