1985年秋、フジテレビジョン系列で放送が開始された『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』。東映が制作を手掛けたこのアクションドラマこそ、彼女の運命を大きく塗り替えた決定的な起点となった。鉄仮面を被せられて育った少女・五代陽子(二代目・麻宮サキ)という荒唐無稽な設定を、説得力ある人間ドラマへと昇華させたのは、彼女自身の鬼気迫る佇まいだった。
当時の撮影現場は、現代の常識からは想像もつかないほど過酷を極めていた。早朝から深夜まで続く過密ロケ、真冬の海や採石場でのハードな立ち回り、そして重厚な鉄仮面を長時間装着しての演技。生傷が絶えない過酷な環境に置かれながらも、彼女は現場で決して涙を見せなかったという。東映の無骨な職人スタッフたちに囲まれ、ヨーヨーを構える彼女の瞳に宿っていたのは、極限状態の中で鍛え上げられた本物の迫力だった。お嬢様のような気品と泥臭いアクションという強烈なコントラストが、日本中のお茶の間を瞬く間に釘付けにした。