性愛と死の隣接は、古来より人類の好奇心を刺激してきた。江戸幕府第11代将軍の徳川家斉は、50人以上の子をもうけた絶倫ぶりで知られるが、権力者の夜の営みには常に急死の影が囁かれていた。近現代においても、元米副大統領のネルソン・ロックフェラーが急逝した際の状況を巡る報道は、世界的なスキャンダルとしてメディアを騒然とさせた。
映像の世界でもこのテーマは強烈なモチーフとして消費されてきた。映画監督の大島渚が実在の猟奇事件を描いた金字塔『愛のコリーダ』は、性愛の極限と死の不可分性を生々しく突きつけ、世界的な議論を呼んだ。現在でもNetflixやAmazon Prime Videoなどの配信プラットフォームでは、性行為中の突然死や密室サスペンスを題材にしたドラマやドキュメンタリーが数多く視聴されている。だが、フィクションが描く官能的な破滅の裏で、医療ジャーナリズムが伝えるべき現実はもっと冷徹で、かつ予防可能な身体の故障にほかならない。