「愚かな島民が無計画に木を切り倒し、モアイ像の建造に固執した挙句、生態系を破壊して自滅した」——長年、環境教訓の寓話として語られてきたこのストーリーは、最新のデータ解析によって完全に書き換えられつつある。
放射性炭素年代測定や古代DNAの解析、さらには農地の土壌分析が進むにつれ、島民たちは決して無知な破壊者ではなく、きわめて高度な持続可能農法を実践していたことが分かってきた。彼らは「ロック・ガーデニング」と呼ばれる、畑全体に玄武岩の砕石を敷き詰める技術を発明し、土壌の水分蒸発を防ぎながら養分を補給していたのだ。近年の歴史ドキュメンタリーやNetflixで配信される最新研究の特集記事でも、イースター島(ラパ・ヌイ)の社会は過酷な環境に適応し、数百年以上にわたって平和なコミュニティを維持していた姿が描かれている。文明を滅ぼしたのは自滅ではなく、18世紀以降の外来病の流入や西洋人による奴隷狩りという悲劇的な外圧だったという見方が、現代学界の主流となりつつある。