徳之島には多くの空き家が存在する。一見すると供給の余地があるように思えるが、それらが市場に流通しない裏には、奄美群島独特の文化的背景と法的な課題が存在する。
最大の障壁が「仏壇問題」だ。徳之島ではご先祖様を祀る仏壇(祖先崇拝)が非常に重視される。家を売却・賃貸に出すことは「先祖の家を他人に渡す」こととと同義と捉えられ、親族内の心理的抵抗が非常に強い。建物自体は使われていなくても、仏壇が置かれているために放置されている空き家が島内に無数に存在する。
また、相続登記が数世代にわたって行われていない「所有者不明土地・家屋」も多い。法定相続人が全国に数十名分散しており、いざ売買しようとしても権利関係の調整だけで数年を要する、あるいは断念せざるを得ないケースが頻発している。
各町が運営する「空き家バンク」は、こうした課題に対応するための重要な窓口だが、掲載登録に至るまでのハードルが高く、常時十分な物件数を確保できているわけではない。