組織の舵取りを担う稲葉延雄会長は、肥大化した組織のスリム化とデジタルシフトの両立という難題に直面している。衛星放送のチャンネル削減やラジオの再編など、既得権益にメスを入れる改革は待ったなしの状況だ。「聖域なき見直し」を掲げる執行部だが、現場の職員や長年の視聴者からの反発も根強い。
稲葉体制が目指すのは、単なるコストカットではない。民放各社との協調路線を探りつつ、信頼性の高い情報をデジタル空間でどう維持するかという生存戦略だ。税金に近い性格を持つ受信料で成り立つ組織だからこそ、民間企業以上の透明性と効率性が厳しく査定されている。