体験の流れは極めて無骨だ。専用の浴衣を肌の上に直接まとい、頭にタオルを巻いて砂場へと歩みを進める。カメラやスマートフォンを持ち込む観光客も多いが、砂粒と微細な硫黄を含んだ蒸気は精密機器の天敵。できればすべて脱衣所に預け、五感だけで渚に降り立つのが賢明だ。
注意すべきは潮の満ち引きだ。砂むしは干潮に近づくほど地熱の通りが良くなり、熱効率が最大化する。満潮時は潮位の関係で内陸側の設営場に移動することもあるため、本物の波打ち際で波しぶきの音を間近に聴きながら埋まりたいなら、事前に大潮・中潮の干潮時刻を調べておくのが通の流儀だ。
入浴時間の目安は10分から15分。我慢大会ではない。額に玉の汗が浮かび、首筋を伝って砂に吸い込まれていくあたりで切り上げるのが、湯あたりを防ぎ、最高の爽快感を得る黄金律である。