播州、三輪、小豆島。いわゆる「日本三大素麺」の産地が極細の美しさを競い合う中で、半田の麺は異彩を放つ。太さは直径1.3ミリから1.7ミリ未満。実は農林水産省が定める日本農林規格(JAS)の定義上、冷麦の分類に片足を突っ込むほどの太さだ。それにもかかわらず、伝統的な製法と歴史的経緯から特別に「そうめん」と呼ぶことが認められている。
吉野川の舟運で栄えたこの地には、米が少ない山間部ゆえに小麦文化が根付いた。寒風の中、小麦粉と塩水を練り上げ、食用植物油を塗って幾度も延ばす。日本の和食・乾麺製造産業の中でも、この太さと弾力を両立させた地域は極めて珍しい。噛んだ瞬間に広がる甘みと、喉を滑り落ちる力強いツルツル感。一度体験すると後戻りができなくなる中毒性がここにある。