戦国時代、弱小大名に過ぎなかった徳川家康が、強敵・武田信玄の脅威に晒されながらも遠江の防御拠点として築いたのが浜松城である。家康はこの地で約17年間という血気盛んな時期を過ごし、後の天下統一に向けた揺るぎない基盤と政治的直感を養った。後年、歴代城主の多くが幕府の要職へと昇進した事実から、この城はいつしか「出世城」の異名で親しまれるようになった。
全国的に歴史・史跡観光への関心が高まりを見せるなか、単に展示物を眺めるだけでなく、歴史の転換点となった空間を体感する旅が支持を集めている。一歩足を踏み入れれば、荒々しく積み上げられた石垣や復元された門の重厚な佇まいが、訪れる者を400年前の激動の時代へと一瞬で引き戻してくれる。