世界的なアスリートを肉親に持つことの葛藤は、常人の想像を超える。幼少期から絶えず比較され、自身の行いが身内の足引っ張りとして報じられる重圧に、若き日の彼は歪んだ反発心を抱くこともあったという。しかし、長い歳月とそれぞれの苦難を経て、二人の関係は互いの生き方を認め合う大人同士の絆へと深化を遂げた。
かつてのスポーツジャーナリズムは、兄の偉業に対する「光と影」というステレオタイプな文脈で彼を切り取ることが多かった。だが今や、単なる有名人の家族という枠組みを超え、困難な境遇から自力で立ち上がった一人の実業家として彼をとらえる視点が増えている。比較される苦しみから抜け出し、自身の足で立った者だけが持つ独特の強さがそこにはある。