波多神社の真価を語る上で外せないのが、平安時代初期の官社一覧である延喜式神名帳の存在だ。古代の格式を示す式内社としてその名を留めている事実は、当時から中央の朝廷にも認知された重要拠点であったことを物語る。
主祭神には出雲神話の英雄である素戔嗚尊が祀られているが、研究者や地元の古老が口をそろえて指摘するのが、社名にも通じる渡来系豪族秦氏との関わりだ。土木技術や金属加工に長けた秦氏の一族がこの地に入植し、開墾と水利の守護神として奉斎したのが始まりではないかという説が根強く存在する。神話の神と古代技術集団の足跡が重なり合う点に、歴史ロマンの真髄がある。