稲川会の立ち位置を決定づけるもうひとつの要素が、他団体との外交戦略である。とりわけ、国内最大組織である六代目山口組との強固な親戚関係は、業界全体の勢力図に決定的な影響を与え続けている。首脳陣同士の個人的な絆とパイプは極めて太く、東西の巨大組織が結託することで無用な衝突を回避し、相互不可侵の均衡が保たれてきた。
一方、地元・関東においては、同じく巨大勢力である住吉会との間で絶妙な緊張感と協調関係が維持されている。関東に拠点を置く主要団体で構成される親睦組織「関東二十日会」の枠組みは、ローカルな利害衝突を調停し、過度な抗争の勃発を防ぐ重要なセーフティネットとして機能してきた。六代目山口組との同盟軸を誇示しつつ、関東二十日会を通じた地域的安定を図る——この二面外交こそが、稲川会の強固な地盤を支えている。