稲川会の歴史を語る上で、初代会長・稲川聖城の存在は外せない。昭和の裏社会において圧倒的なカリスマ性と義理人情の規範を打ち立て、組織を東日本屈指の勢力へと押し上げた。その血統と精神性は今もなお神格化されているが、時代は確実に移り変わった。
現在、舵取りを担う六代目会長・内堀和雄の体制下では、感情論を排したリアリズムが優先される。内堀体制が掲げるのは、警察当局からの追及を最小限に抑える「静止の規律」だ。無駄な抗争を避け、経済活動のコンプライアンス(裏社会的な規律遵守)を徹底させる。初代が築いた強固な結束力を土台にしつつも、現代の法制度下で組織を存続させるためのシビアな統制が敷かれている。