引退セレモニーで最も観客の胸を打ったのは、ダンプ松本がリング上で流した大粒の涙でした。凶悪なメイクを施しながらも、宿敵である長与千種、ライオネス飛鳥と固く抱き合い、肩を震わせて泣きじゃくる姿に、超満員の会場からは割れんばかりの拍手と「ダンプコール」が巻き起こりました。
1985年の大阪城ホールで行われた伝説の「髪切りデスマッチ」をはじめ、彼女たちの戦いは常に血で血を洗う死闘でした。しかし、その過激なバイオレンスの裏側には、「クラッシュ・ギャルズを日本一の輝くアイドルレスラーにする」というダンプ松本の強烈な覚悟と、互いへの絶対的な信頼関係が存在していました。
リングを降りれば同期の親友同士。連日のように激しい抗争を演じながらも、相手の攻撃を命がけで受け止め合ってきた戦友だからこそ、最後の瞬間に偽らざる本音と涙が溢れ出しました。極悪非道の仮面を脱ぎ捨て、一人の女性として仲間たちと分かち合った涙は、女子プロレスの歴史において最も美しい名場面として刻まれています。