医療機関宛ての脇付ルールにおいて、「御侍史」としばしば並び称されるのが「御机下(おんきか/ごきか)」です。両者はどちらも紹介状の宛名に添えられる脇付ですが、その由来と込められたニュアンスには明確な差異が存在します。
「机下(きか)」とは文字通り相手の机の下、あるいは足元を指し、「直接お手元にお渡しするのではなく、机の下にそっと置かせていただきます」という謙遜の意味を持ちます。歴史的な格式としては、側近を通す「御侍史」のほうが「御机下」よりも一段高い敬意を示す表現と位置づけられてきました。
担当医御机下との使い分けマナーとしては、大学病院の教授や名誉院長など、明らかに格上の相手に宛てる際には「御侍史」を選び、医局の後輩や気心の知れた同門の医師へ宛てる際には「御机下」を用いるという暗黙の使い分けが古くから存在していました。しかし現代の実務では、電子カルテのテンプレートに登録された初期設定をそのまま印刷するケースが増加しており、厳密な使い分けの意識は薄れつつあります。