「押すなよ、絶対に押すなよ」という言葉のルーツを辿ると、1980年代から1990年代にかけて日本テレビ系列で放送された伝説の生放送バラエティ番組『スーパーJOCKEY』に行き着きます。その名物企画であったのが、制限時間内に熱湯に耐えながら告知を行う「熱湯コマーシャル」でした。
当時、番組の司会を務めていたビートたけし氏の目に留まり、体を張る役目として抜擢されたのが若手時代のダチョウ倶楽部でした。浴槽に張られたお湯の温度は、時に50度近くに達する過酷な現場。当初の上島竜兵さんは、キャラクターとしてのボケではなく、熱さへの恐怖から本気で「押すなよ!」と叫び、足元をすくまないよう必死に踏ん張っていたといいます。
しかし、その必死の形相と切実な叫びを見たビートたけし氏や共演陣が、背中を容赦なくトンと突いた瞬間、スタジオは割れんばかりの爆笑に包まれました。「絶対に嫌がっている人間を落とす」というハプニングの面白さが、やがて「押すなよ=早く押して落としてくれ」という日本一有名な前振りに進化していったのです。