かつての新幹線運行管理は「雨や風が基準値を超えた段階で順次ブレーキをかける」という後追い型の対応が主流だった。しかし2019年の台風19号による長野新幹線車両基地の冠水被害や、近年の線状降水帯による極端な集中豪雨の頻発を受け、JR各社の安全運用基準は根本的に見直された。現在運用されている2026年基準の「予防的計画運休」は、気象庁のアンサンブル数値予報モデルと線路沿線のピンポイント風速・雨量予測データを高度に連携させたものだ。
風速25m/s以上の強風域に路線が入る確率が急上昇した場合、運行会社は運休の「可能性」を前もって提示する。運休発表が早まったことで、乗客が駅に殺到してパニックに陥る事態は激減したものの、今度は「実際にはまだ雨が降っていないのに運転が止まる」というタイムラグに対する困惑が生じるようになった。運行基準は単に「今降っている雨」ではなく、「これから通過する雨雲の移動速度」と「復旧作業に必要な安全時間」の積算によって決定されている。