勝負の世界では、相手力士の休場による「不戦勝」や、土俵際での際どい攻防による「同体・取り直し」が日常的に発生します。こうしたイレギュラーな状況において、懸賞金はどのように扱われるのでしょうか。
まず不戦勝の場合、勝ち名乗りを受ける力士に対して、懸賞金は通常通り全額支給されます。ただし土俵上での懸賞旗の周回や手刀の儀式は行われず、支度部屋や控室で協会役員から静かに手渡される形式を取ります。対戦相手が怪我で土俵に上がれなかったとしても、勝ちを拾った力士の権利は保護されます。
一方で、両者がともに休場して取組自体が消滅した場合は、その取組に掛けられていた懸賞金はスポンサー企業へ全額返還されます。
行司軍配に対して物言いがつき「取り直し」となった場合、懸賞旗の再入場は行われませんが、再試合を制した勝者が最初の取組に懸けられていた懸賞金をそのまま獲得します。水入り(長時間の相撲による中断・再開)の場合も同様に、勝負が決着した段階で一括して授与されます。
また、1つの取組にかけられる懸賞金の本数には上限が設けられており、以前は最大50本程度だったものが、取り組みの進行スムーズ化や土俵進行の都合を考慮して1取組上限60本前後でコントロールされています。結びの一番などで懸賞旗が土俵を何周も回る光景は、まさにその制限枠いっぱいの熱気を示しています。