現代美術において樹脂(レジン)は広く用いられる素材ですが、大西伸明ほどその物質的特性と視覚的イリュージョンを極限まで結びつけている作家は稀です。
型取り(キャスティング)という行為は、本来「オリジナルの不在」を前提としています。型を取られたオリジナルは取り除かれ、そこに残された「型の空洞」に新しい素材が流し込まれることで作品が誕生します。つまり、大西の彫刻作品は、実物の「影」であり「記憶の器」でもあるのです。
実例として、彼が手掛ける樹木の枝や葉を模した作品群を挙げることができます。自然物が持っている生々しい有機的な造形が、人工的な合成樹脂という無機質な素材へ置換されるプロセスにおいて、時間は永遠に固定化されます。枯れて朽ちていくはずの物体が、透明な皮膜の中で半永久的な生を与えられるというパラドックス。ここには、西洋のヴァニタス(人生の空虚さや静物画の伝統)に通底するメメント・モリの美学が現代的なアプローチで流れています。