東池袋大勝軒の創業者であり、「ラーメンの神様」と称された山岸一雄氏。彼がいなければ、現代のつけ麺ブームは存在しなかったかもしれない。
もともとは修業時代のまかないとして、余った麺をスープの残りに浸して食べていたのが始まりだった。まかないを物珍しそうに見つめる客の視線に気づいた山岸氏は、試行錯誤を重ねてメニュー化。「特製もりそば」と名付けられたその一杯は、瞬く間に店一番の人気商品へと上り詰めた。
山岸氏の真骨頂は、その技術やレシピを一切隠さず、弟子たちに惜しみなく伝授した懐の深さにある。彼の元には全国から弟子入りを志す若者が殺到し、毎朝の行列は東池袋の風物詩となった。仕込みでボロボロになった膝の痛みに耐えながらも、カウンター越しに満面の笑みを向け続けた姿は、今なお多くの人々の記憶に焼き付いている。