映画クレヨンしんちゃんの歴史を振り返るとき、多くのファンや批評家が口を揃えて称賛する傑作群が存在する。かつて劇場で大笑いしていた子供たちが大人になり、親となったいま、再び画面と向き合ったときに流す涙の量は、他のどの邦画アニメよりも多いかもしれない。
上位に君臨する作品群の凄みは、テーマの深さにある。ノスタルジーに囚われた大人たちと未来を奪い返そうとする子供たちの葛藤を描いた作品や、己の信念と悲恋を真っ向から描いた時代劇調の作品など、エンターテインメントとしての完成度は極めて高い。子供を喜ばせる娯楽作品としての表面を持ちながら、裏には人間の生と死、家族の絆という重厚な主題が流れている。