ファンの間で「隠れた傑作」「涙腺崩壊必至」と称賛される作品には、例外なく感情が激しく揺さぶられる決定的な瞬間が存在する。たとえば、3D CG技術を駆使して新たな視点から物語を再構築した『STAND BY ME ドラえもん』だ。のび太の結婚前夜、静かに行われるしずか父親との対話シーンは、全国の父親世代を号泣させた名シーンとしてあまりにも有名である。
また、隠れた名作として語られる中期の長編作品では、敵キャラクターとの間に芽生える切ない友情や、自己犠牲の精神を描いたエピソードが目立つ。単なる勧善懲悪に留まらない複雑な感情の機微こそ、ファンが長年にわたり熱弁を振るう理由だろう。理屈を超えて胸を打つセリフの数々は、人生の節目節目で思い返したくなる深い味わいを持っている。