CG技術がアニメーション映画の表現を刷新する中で、2014年に公開された『STAND BY ME ドラえもん』は日本中に巨大な涙の渦を巻き起こした。監督を務めた山崎貴と八木竜一のコンビは、原作珠玉のエピソードを一本の流麗な成長叙事詩として再構成。立体的なキャラクター造形によって、のび太の流す大粒の涙や夕暮れ時の街並みが驚くほどの生々しさで迫ってくる。
特に圧巻なのは、ドラえもんが未来へ帰る前夜、のび太がジャイアンに一人で立ち向かうシークエンスだ。ボロボロになりながらも「ぼくだけの力で、きみに勝たないと……ドラえもんが安心して未来へ帰れないんだ!」と立ち上がる姿は、依存からの脱却という人間の普遍的な成長儀礼を描き切っている。山崎貴の手腕は、単なるノスタルジーに留まらず、観客自身の人生の岐路とシンクロさせる演出力において際立っていた。