矢野経済研究所をはじめとする最新の市場データが示す通り、拡大を続けるオタ活・推し活グッズ市場は、今やマニア層だけの限定的な経済圏ではない。かつて大量の缶バッジを整列させて誇示する文化として定着した痛バッグ(痛バ)だが、ファンの年齢層の上昇と裾野の広がりに伴い、実用性を兼ね備えた製品への需要シフトが起きている。
アニメグッズ専門大手の株式会社アニメイトの売り場でも、明らかな変化が見て取れる。従来主流だった鮮やかなクリアポケット付きバッグの横に、オフィス通勤でも浮かないシックなモノトーンやベージュ調の商品がずらりと並ぶ。「仕事帰りにイベントへ直行したい」「日常使いできるデザインが欲しい」という社会人層の切実な声を受け、商品開発の方向性はガラリと変わった。
この地殻変動を後押ししたのが、コンテンツ消費環境の変化だ。Netflixなどの動画配信サービスが広く浸透したことで、大人がアニメやゲーム作品を日常的に楽しむ環境が当たり前になった。それに伴い、ファンが抱く「推しと一緒にいたいが、周囲の視線は気にしてしまう」という葛藤を解消するプロダクトが求められた結果と言える。