順風満帆に見えた大橋さんのキャリアを突如として襲ったのが、2013年1月に起きた若年性脳梗塞の発症でした。当時34歳、自宅で就寝中に体に異変を感じ、迅速な救急搬送と処置によって一命を取り留めたものの、約8ヶ月間に及ぶ過酷な休養・リハビリ生活を余儀なくされました。
当時の手記やインタビューで大橋さんは、「昨日まで普通にできていたことが突然できなくなる恐怖」「アナウンサーとして二度と言葉を話せなくなるかもしれない絶望」に直面した心情を率直に明かしています。この壮絶な闘病経験が、彼女のその後の生き方を根底から変える契機となりました。「完璧な自分を見せなければならない」という強い強迫観念を手放し、命の有限性を痛感したことで、日々の些細な瞬間に感謝する心の余裕が生まれたといいます。
病を乗り越えた大橋さんは、2015年にテレビ東京の後輩ディレクター(現・プロデューサー)である上出遼平氏と再婚を発表。互いの知性と表現活動を尊重し合う対等なパートナーシップを築き、2017年末には15年間勤めたテレビ東京を円満退社してフリーアナウンサーへと舵を切りました。苦難を経て手に入れた精神的な成熟が、彼女の表情に一層の深みと優しさを与えたのは間違いありません。