大器晩成の概念は、歴史上の偉人や世界的起業家たちの軌跡を見ることで、より生々しい説得力を持ちます。
日本史における大器晩成の筆頭として挙げられるのが、日本全図を完成させた伊能忠敬(1745〜1818)です。忠敬が家業の造り酒屋を息子に譲り、隠居したのは50歳の時でした。それから江戸に出て19歳年下の高橋至時に入門して本格的な天文学・測量学を学び始め、日本全国の測量行脚に出立したのは55歳の時です。没する73歳まで歩み続け、近代地図の礎を築いた彼の生涯は、年齢を言い訳にしない晩成型の極致と言えます。
世界的なビジネス界に目を向ければ、ケンタッキーフライドチキン(KFC)創業者のカーネル・サンダース(1890〜1980)が際立ちます。数々の事業破綻や解雇を経験し、無一文に近い状態で自慢のフライドチキンのレシピを抱えてフランチャイズ契約のための営業をスタートさせたのは65歳の時でした。1,000回以上の断りを経て事業を軌道に乗せた粘り強さは、まさに大器晩成の象徴です。
また、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発明した日清食品創業者・安藤百福(1910〜2007)も、信用組合の破綻により全財産を失ったどん底から、自宅裏庭の研究小屋で開発を成功させたのは48歳の時でした。さらに96歳で宇宙食ラーメン「スペース・ラム」を開発するなど、晩年に至るまで創造性を拡張し続けました。