全国的な「どんど焼き」のイメージから、多くの人が陥りがちな最大の誤解が「正月飾りなら何でも御神火に投げ込んでよい」という思い込みです。とりわけ大崎八幡宮のどんと祭において毎年トラブルの火種となっているのが、「だるま(達磨)」と「プラスチック製しめ縄飾り」の持ち込み禁止ルールです。
焼納できるものと持ち込み禁止の理由について、大崎八幡宮の社務所見解および環境保全ガイドラインを精査すると、明確な2つの根拠が存在します。第1の理由は「神道と仏教の宗教的境界および安全上のリスク」です。そもそも「だるま」は禅宗の開祖・達磨大師を模した仏教由来の縁起物であり、神道の神社である大崎八幡宮の授与品ではありません(ただし地域の風習として松川だるま等を授与する一部の寺社は除きます)。さらに構造上の問題として、だるまの底部には起き上がりこぼしとして機能させるための「粘土やコンクリートの重り」が埋め込まれており、表面には合成塗料が厚く塗られています。これを高温の御神火に投入すると、内部の空気が膨張して破裂し、周囲の裸参り参加者や参拝客に熱せられた破片が飛散する重大事故につながるのです。
第2の理由は「有害物質(ダイオキシン等)の発生防止と消防法上の指導」です。現代の市販されている正月飾りやしめ縄には、プラスチック製の海老や扇、ビニール製の裏白、さらには固定用の太い針金やホッチキスの芯が大量に使われています。また、鏡餅のプラスチック容器や橙(みかん)などの水分を多く含む食品を投入すると、不完全燃焼を起こして黒煙と悪臭が住宅街である八幡町一帯に充満してしまいます。
正月飾りや古神札の正しい焼納方法としては、自宅を出発する前に必ず以下の「事前解体ステップ」を済ませておく必要があります。
- ステップ1:しめ縄や門松から、プラスチック製の飾り、ビニール紐、金属製の針金、鈴などをハサミやペンチで完全に取り除く。
- ステップ2:破魔矢の先端や矢羽根にプラスチックが使われている場合はその部分を折り取り、木製の軸と紙札のみにする。
- ステップ3:お寺で授かったお札(護摩札など)やだるまは、どんと祭には持ち込まず、授かった寺院の「お焚き上げ」へ別途返納する。
現地では御神火の手前に多数の神職や氏子青年会の係員が配置され、持ち込まれた袋の中身を厳しくチェックしています。「みんなこっそり捨てているだろう」というネット上の無責任な噂を信じてそのまま持ち込むと、衆人環視の検問所で袋を開けさせられ、禁止物の持ち帰りを強く指導されることになるため注意が必要です。