現役を退く決断を下したあの瞬間、彼女の心の中に交錯していたのは達成感だけではなかった。プロ選手としての先駆者であるがゆえの孤立感や、日本における女子スポーツ選手の環境改善に対する歯がゆさが常に存在していたという。
日本バレーボール協会に対しても、彼女は愛があるからこその直言を惜しまない。育成年代の指導体制の見直しや、引退後のアスリートが自立して活躍できるスキームの構築など、未来のバレー界を見据えた提言を続けている。未公開のプライベートノートに記されていたのは、「次の世代には自分と同じような孤独な思いをさせたくない」という切実な願いだった。栄光の影にあった知られざる葛藤は、今や未来を変えるためのエネルギーへと変わっている。