元号の歴史の幕を開けたのは、645年に即位した孝徳天皇である。大化の改新に伴い、日本独自の「大化」という時間を制定したことは、大陸の王朝に対抗し自立した国家主権を内外に示す象徴的な宣言であった。
中世から近世にかけての改元は、疫病の流行、大火、彗星の出現といった天変地異を理由とする「災異改元」が主流を占めていた。元号を変えることで時間の流れを一度リセットし、社会の厄を祓うという呪術的・祈念的な意味合いが強かったのである。これが一変したのが明治維新における「一世一元の制」の導入である。天皇一代につき元号一つという厳格な原則が定められた。
この原則のもとで60年余にわたる激動の時代を駆け抜けたのが昭和天皇の治世である。戦前・戦中の破局から戦後の高度経済成長に至るまで、同一の元号のもとで社会が激変した経験は、1979年の元号法制定へと結実し、現代の法制度として元号が継続される法的根拠となった。