『あぁ』という極めて短く、それでいて感情のすべてが凝縮されたタイトル。この曲の歌詞には、大黒摩季ならではの研ぎ澄まされたリアリズムが刻み込まれています。
初期の大黒摩季作品(『DA・KA・RA』『あなただけ見つめてる』『夏が来る』など)では、恋愛における女性の強気な本音や自立への渇望がユーモアや皮肉を交えて描かれていました。しかし『あぁ』で描かれているのは、自立を果たし、都会で戦い続ける大人がふと直面する「埋められない孤独感」と「やり場のない疲燥」です。
歌詞の中では、どれほど誠実に生きようとしてもすれ違う人間関係、尽くしても報われない恋愛、そして「大丈夫」と周囲に笑顔を見せながら限界を迎えている心が描かれます。心理学における「防衛機制の崩壊」に近い状態であり、張り詰めていた緊張がプツリと切れた瞬間に漏れ出る感情の吐息こそが、サビの冒頭で放たれる「あぁ」という絶叫です。言葉にならない感情を、これ以上ない説得力でメロディに乗せて解き放つことで、聴き手はカタルシス(感情の浄化)を得ることができます。