剣道を志す者なら一度はその名を耳にする大和武道具製作所。なぜこれほどまでに多くの剣士の心を掴み、揺るぎない信頼を勝ち得てきたのでしょうか。その核心にあるのは、伝説の剣道具職人・伊藤毅氏をはじめとする職人陣が注ぎ込んできた「一切の妥協を許さない実用本位の仕立て」にあります。
全日本武道具協同組合の理念にも通底するように、武道具は単なるスポーツギアではなく、命を守り礼節を体現するための防具です。大和武道具製作所の防具は、激しい稽古を日々繰り返す特練員や指導者が何年間打ち込んでも型崩れしない圧倒的な堅牢度を誇ってきました。特に長年培われた剣道具職人の手刺し技術は、刺し幅の均一さだけでなく、打突を受けた瞬間に力を逃す絶妙な布団のコシを実現しており、触れた瞬間に違いが伝わる仕上がりです。
そして、大和武道具製作所を語る上で外せない存在が「ヤマト胴」です。かつて胴台といえば竹胴が主流であり、高価格かつ手入れの手間が課題とされていました。そうしたなかで広く普及したヤマト胴は、特殊な強化樹脂を採用することで、過酷な打突にもびくともしない耐久性を打ち立てました。打突部位としてのヤマト胴の特徴は、竹胴に匹敵する、あるいは打ち込みの激しい稽古においてはそれをも凌駕する割れにくさにあります。打突の強い衝撃を面全体へ分散させる独自の成型技術が、多くの指導者や選手から「最も頼れる稽古胴」として選ばれ続けてきた理由です。