ロイヤルズの絶対的司令塔であり、今やメジャーを代表するスーパースターとなったボビー・ウィットJr.の存在感は抜群だった。構えに迷いがない。初球からフルスイングで仕掛けてくる度胸と、ボール球を見極める選球眼。ドジャースの投手陣にとって、彼の前に走者を溜めることだけは絶対に避けたいシナリオだった。
圧巻だったのは8回表の攻防だ。ドジャースの救援陣は101マイルの力強いストレートで押し切ろうと試みる。ファールで粘るウィットJr.。スタンドの緊張感はピークに達した。8球目、外角低めに沈むスプリットで空振り三振に仕留めた瞬間、ドジャースバッテリーは固く拳を握りしめた。力と力が正面衝突する、息をのむ名勝負だった。