バットの芯で捉えた打球音は、まるで乾いた雷鳴だった。スタットキャストが計測した初速は118.7マイル(約191キロ)、飛距離465フィート(約141.7メートル)。打球角度29度で飛び出した白球は、高々と舞い上がり、右翼スタンド最上段の看板を直撃した。現地メディアのロサンゼルス・タイムズ紙は「物理法則を嘲笑うかのような弾道」と即座に速報を打ち、実況席は「アンビリーバブル」を連呼した。
この驚異的なパワーの源泉は、オフから磨き上げられた最新の打撃フォームにある。従来のステップ幅からわずかにスタンスを微調整し、下半身から上半身への回旋エネルギー伝達ロスを極限まで削ぎ落とした。左足の踏み込み位置を数センチ変化させたことで、内角の厳しいカッターに対してもバットが内側からスムーズに出る。外角低めの変化球に泳がされる場面も激減した。現地アナリスト陣が「弱点の消滅」と評する打撃の完成度が、この特大アーチに凝縮されている。