万博の収支を正しく理解するうえで不可欠なのが、「会場建設費」と「運営費」が完全に分かれた二層構造になっているという基本原則です。ニュースで「万博の黒字化なるか」と報じられる際、その大半は日本国際博覧会協会が管理する約1,160億円規模の運営費収支を指しています。入場券の売上や会場内飲食・物販のロイヤルティ収入で日々のオペレーション費用を賄う仕組みであり、ここがプラスになれば「運営上の黒字」と定義されます。
日本国際博覧会協会の発表によると、運営費の約8割は入場券収入で賄われる計画でした。開幕前の大阪関西万博のチケット売上推移は、企業向けのまとめ買いを除くと個人向け前売り券の初動が大きく鈍化し、一時は目標の半分にも満たない厳しいペースで推移しました。しかし会期中盤から秋の閉幕にかけて、SNSでの口コミ拡散やパビリオンの体験談が火をつけ、駆け込み需要によるリピーターが急増。最終的な来場者数は採算ラインとされた約2,820万人に対して肉薄する水準まで盛り返しました。
大阪万博の収支に関する最新ニュースを精査すると、運営費の収支見通し自体は赤字転落を辛うじて回避し、ほぼトントンからわずかな黒字に着地する可能性が高まっています。しかし、これはあくまで「日々の運営にかかった費用」が入場料で相殺されたに過ぎません。その土台となる人工島・夢洲の会場を造るために投じられた巨額のインフラ整備費や建設費を考慮した場合、会計全体として「黒字」と呼べるのかどうかには厳しい目が向けられています。