来館者が入口に足を踏み入れた瞬間、誰もが息を呑むのがエントランス頭上に鎮座する体長約19メートルのナガスクジラ骨格標本です。空を泳ぐような圧倒的プロポーションが、日常から太古の地球へのタイムトリップを告げます。この巨大標本に象徴される「惜しみない実物展示の迫力」こそ、多くの来園者を魅了し続ける最大の要因です。
館内は全5つの展示室で構成され、それぞれ明確なテーマ性を持っています。なかでも来館者の視線を釘付けにするのが、第2展示室「地球と生命の歴史」です。ここには、約2万年前に大阪平野を闊歩していたとされる大阪市立自然史博物館のナウマンゾウの実物大復元模型と骨格標本がそびえ立ち、生命の息吹を今に伝えています。さらに歩みを進めると、アロサウルスやステゴサウルスをはじめとする大型の大阪市立自然史博物館の恐竜標本群が来館者を四方から包み込みます。単に化石を陳列するのではなく、骨盤の傾きや四肢の筋肉の付き方まで近年の古生物学研究を忠実に反映した骨格マウントは、専門研究者もうならせる緻密さです。
しかし、同館の真価は古生物だけに留まりません。第1展示室「身近な自然」では、大阪湾や淀川水系、生駒山地に息づく動植物のジオラマが展開され、私たちが暮らす都市空間のすぐ隣にある生態系の豊かさを再認識させてくれます。精巧な昆虫標本から実物大の里山ジオラマまで、大阪市立自然史博物館の見どころは、知的な興奮と視覚的な驚きをこれでもかと浴びせかける重層的な展示構成にあります。