慣用句「うだつが上がらない」の語源となった構造物、それが漢字で卯建(うだつ)と書かれる建築部材である。元々は隣家からの火災を防ぐための防火壁として、2階の屋根の両端に張り出すように作られた。だが、木造建築が密集する城下町で火災予防の役割を果たす一方で、施工には莫大な費用がかかった。
そのため、裕福な商人しか自身の屋敷にこれを設置することができなかった。いつしか「うだつを上げる」ことが出世や財力の証明となり、逆にうだつを作れない甲斐性なしの様子を「うだつが上がらない」と呼ぶようになったのだ。壁面に刻まれた家紋や繊細な瓦の意匠には、当時の職人たちの意地と誇りが宿っている。