ノーベル化学賞の最有力候補として数年以上にわたり名前が挙げられ続けている北川氏だが、彼自身の目線は常に受賞の先にある「未来の社会」に向けられている。
「科学の価値は論文の数ではなく、どれだけ人の命と暮らしを豊かにできるかにある」
若手研究者たちに向けた講演で彼が繰り返し語る言葉だ。研究が困難に直面したとき、あえて「誰も行かない道」「一見すると役に立たなそうな探求」を選ぶことの大切さを説く。流行を追う研究ばかりが評価されがちな現代の学術界において、彼の存在そのものが基礎科学の灯火を強く照らしている。