全国のニュースでも度々報じられる大洗サンビーチ潮干狩り事故をはじめ、茨城沿岸で発生する水難事故には共通する明確なメカニズムが存在します。調査から浮かび上がる最大の潮干狩り水難事故原因は、貝採りに夢中になるあまり「潮の満ち引き」と「自身の立ち位置」を見失ってしまう心理的トラップです。
東京湾や瀬戸内海のような閉鎖性内湾の干潟とは異なり、鹿島灘に面した茨城県の海岸は広大な太平洋に直接面した外洋性砂浜海岸です。遠浅に見える地形であっても、潮が満ち始めると数分単位で海水位が急上昇します。波に足元を洗われ続けることで砂が足元から削られ、知らず知らずのうちに深みへと足を取られてバランスを崩し、そのまま押し寄せる白波に巻き込まれるケースが極めて多いのです。
さらに、重い濡れた衣服や胴長(ウェーダー)を着用していた場合、浸水によって身動きが取れなくなり、わずか水深数十センチの場所でも自力で立ち上がれずに溺水に至るという過酷な現実があります。